膝関節部には滑膜ヒダ(膝蓋外側滑膜ヒダ、膝蓋内側滑膜ヒダ、膝蓋上滑膜ヒダ、膝蓋下滑膜ヒダの4種類)が存在し、このうち膝蓋内側滑膜ヒダは別名タナと呼ばれますが、これが大きく大腿骨内顆前面を広く覆う場合、あるいはそれが弾性を失って硬くなる場合、障害の原因となりこれをタナ障害といいます。滑膜ヒダは胎児期に一時的に作られ、出生後も残存することが約半数あるそうです。機能的には切除しても問題はありませんが、膝の曲げ伸ばしを繰り返すことでタナが内側膝蓋大腿に挟まり、大腿骨下端の膨らんだ部分とこすれて炎症を起こし、腫脹や疼痛が現れます。
◯頻度の高いものに
膝蓋上滑膜ヒダ、膝蓋内側滑膜ヒダ、膝蓋下滑膜ヒダがあります。
いずれも正常構造であり、薄く柔軟性に富み、臨床的に問題とはなりません。関節鏡で観察すると白色の膜様構造として見られるが、繰り返す機械的刺激などにより反応性滑膜炎が生じ、ヒダの肥厚や瘢痕化が進行すると症状が出現します。
膝蓋上滑膜ヒダ
発達した遺残膝蓋上ヒダにより膝蓋上腔が閉鎖され、さらに外傷、感染、出血などにより膝蓋上腔に液体貯留が促進されることにより、膝蓋上部に皮下腫瘤を触れこともあります。
膝蓋内側滑膜ヒダ
膝関節腔の内側を走行する滑膜ヒダ。MRI横断画像で高頻度に認められます。関節液が少ないと認識されないこともあります。外側の滑膜ヒダは稀です。大きな内側ヒダはタナと呼ばれ、膝蓋大腿関節に挟み込まれ、クリックや疼痛、重度の場合にはロッキングをきたし、いわゆる「タナ障害」を発生します。
膝蓋下滑膜ヒダ
前十字靭帯の前方に位置し大腿骨関節腔を左右に振り分けるように存在し、膝蓋下脂肪体と順間窩前方を連絡する。膝蓋下脂肪体を吊り上げる役割といわれ、膝関節鏡施行時に高頻度で認められ、操作に支障をきたす場合は切除することもあります。3つの滑膜ヒダのうちMRIで認識できる頻度は低いです。前十字靭帯の前方頭側をほぼ平行に走行する薄い策状物として見られます。臨床的に問題となることは少ないが、まれにその腫脹により膝伸展障害をきたすことがあります。
[原因]
屈伸時に膝蓋骨と大腿骨の間に挟まれ、その刺激が繰り返されると「滑膜ヒダ」が肥厚したり傷ついたりして症状が出ます。また、膝に打撲などの外傷を受けると、膝が腫れて関節の動きが悪くなり、「タナ」が関節に挟まれたり擦れやすくなりますので炎症や痛みも出やすくなります。サッカーやマラソン、野球、バレーボールなどの膝を酷使するスポーツや運動、または無理な階段の昇り降りを繰り返しておこなうと、膝のタナが擦れて炎症を起こします。
[症状]
歩いたり、走ったりすると、腫れや熱感、膝に引っかかるような違和感と内側に鈍い痛み、膝蓋部に圧痛を感じます。屈伸運動をすると「ポキッ」と音がするのが特長で運動している時にタナが挟まると転びそうになり、体を支えられなくなる場合もある「膝くずれ」という症状を伴うことが稀にありますがタナがあっても障害(炎症や痛み)がなければ疾患にはなりません。
タナ障害がある状態で長年運動を行っている方には、膝軟骨の損傷や靭帯損傷も同時に見られることがあります。
また、運動不足や加齢で膝周りの筋力が低下した分、膝に負担がかかりますので、気づかないうちに慢性化していて、痛みや炎症が残ることも少なくはありません。元々あるタナが厚くて大きい場合は、特に障害が出やすく、運動をしなくても痛みが現れるのが特長です。
[診断]
痛みのある箇所や、膝を動かした時の音からタナ障害が疑われる場合、MRI検査の画像診断でタナの存在を確認して最終診断を下します。
タナ障害を見つける簡易な方法として、膝蓋骨の内側に親指を当てた状態で膝の曲げ伸ばしをします。この時コキコキ、ポキポキといった音がすればタナ障害の可能性が大きいです。
[治療]
軽症時・・・基本:運動抑制(安静)、運動後の患部へのアイシング、消炎鎮痛剤、大腿のストレッチ
重症時・・・関節鏡視下に小さく関節を切開してタナを切除(切除しても問題はない)
*重症時→保存療法での改善が見られなかった場合、頑固な疼痛、嵌頓症状
リハビリでは超音波や低周波、干渉波を行い痛みを和らげます。その他に、筋力強化やストレッチを行い膝の負担を軽減します。
スポーツ競技において膝関節部は過度に外力が加わり、スポーツによる外傷・障害の多い部位であり、次のような消炎・鎮痛を目的とするマッサージが必要になります。
①消炎鎮痛剤を使用する。
②アイスマッサージ
③慢性の場合は温熱療法を併用するマッサージ
④関節内の新陳代謝の促進を目的としたマッサージ
[予防]
日頃からのストレッチとサポーターによる保温と保護、筋力強化、運動量の見直しが重要になります。
体重を減らし、同じ動作は避けるようにして膝にかかるストレスの軽減を図ります。大腿四頭筋を鍛えて筋力アップすると、筋肉がサポーターの役目も果たしますので、膝の不安定感が取り除かれます。